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花笑み

君に花束を 前編

5



花笑みのふたりです。














ユノさんは忙しい。




ここ2、3ヶ月の間、ずっと。
今まで働いていた美容室を辞めて、独立するための準備をしているから。
物件を探すところから始めて、内装の打ち合わせをしたり器材を揃えたり、集客のための広告をどうするか考えたり。





さらにはユノさんの代わりに新しく店長になる人への引き継ぎ業務もやらなければならないと言うのだから、ユノさんの最近の忙しさは僕には到底計り知れないものだった。







だから帰りが遅くなる日があったって、休日にふたりで出掛けることがなくなったって、家の中に居てもどこかに電話ばかり掛けていたって、僕が文句を言えるわけがない。







ふたりでいるときはその時間を大切にしようとしてくれていることは、知っていたから。







疲れているはずなのに、にこにこしながら「ただいま」と帰ってきて、にこにこしながら「おやすみ」と僕にキスをしてくれるユノさんのことは、尊敬に値する。






だから僕もユノさんを応援したいのだ。
それは本心である。











「チャンミン、来週の土曜日って予定ある?」





「来週ですか?ないですけど…」







ふたりで食卓を囲んでいる最中。
ユノさんが唐突にそう言った。



僕の仕事は土日休みだ。
予定はいつもユノさんに左右されるから、ユノさんが仕事だと言うなら僕は特にやることはない。








「俺さ、結婚式場で働いてる友達がいるんだけど」





「はい」





「今度、パンフレットを新しく作るんだって。式場の案内みたいなやつ。それのモデルをやって欲しいなって、思ってて……」






「えーと、そのご友人にですか?」






主語を言わないユノさん。
話がよく読めない。
そんな僕の様子に気が付いて「ああ、ごめん」とユノさんが笑いながら謝る。







「違う違う。チャンミンにやって欲しいんだ」






「僕に?え……僕が、ですか?」







さらに混乱する僕。
すっかりご飯を食べる手も止まってしまって、ただユノさんを見つめた。








「モデルって言っても、表紙は式場の外観になるらしいから、中にちょこっと載るだけなんだ」





「ちょっとだけ………」








中に少しだけ載るって言ったって。
僕の顔が載ることには変わりないのだし、ましてやパンフレットということは、式場に見学に来た人に配ったりするってことだ。






もちろん、モデルの経験なんてあるわけない。
写真だって、撮られるより撮る方が好きだ。
目立つようなことだって得意ではない。
そんな僕が、モデルだなんて。








「式場のイメージにぴったりのモデルを探してるらしいんだけど、なかなか見つからなくて。困ってるんだ」






「それなら、ユノさんがやった方がいいんじゃ……。僕より何倍も格好良いじゃないですか」







ああでもユノさんがモデルになったら、新婦役のモデルの人と一緒に写真を撮らなくちゃいけないのか。

ユノさんはすごく格好良いから、きっと相手役のモデルの人も惚れちゃうんじゃないかと思う。





………それは嫌だな。









「モデルのヘアセットとメイクを頼まれてるから、俺がモデルになることはできないんだ」





「あ、そうなんですね」






なるほど。
それなら安心だ。
自分からユノさんがモデルに……なんて言ったくせに、ほっとする。







「じゃあ、ユノさんもその撮影中は式場にいるってことですか?」





「ん?うん、そうだね」







パンフレットの撮影なら、着るのはタキシードだろうか。

ユノさんも撮影中にいるなら……ちょっとだけ、モデルになった僕を見て欲しいような気もする。
普段なら絶対に着ることもない衣装。
こんな機会、そうそうないだろう。






ユノさんと付き合ってからもう長いこと経つけれど、ユノさんにドキドキして欲しいといまだに思うくらいには、僕はユノさんにずっと恋をしている。








「友達が式場の近くのホテルを取ってくれてるんだ。チャンミンがもしモデルになってくれたら、次の日は一緒に過ごしたいなって思ってるんだけど……」






「え、次の日って…日曜日ってことですよね?ユノさん仕事休みなんですか?」






「うん。せっかくだから休みにしたんだ」








ユノさんが日曜日に休みだなんて滅多にないこと。
ただでさえ最近バタバタしていたのだから、休みという休みはなかったように思う。





もし僕がモデルをやらなくてもユノさんは式場に行かなきゃいけないわけで、終わったらきっとホテルに泊まるのだろう。
そうなれば僕は、この家にひとりぼっちになってしまう。








それなら………少しでも長い時間、ユノさんと一緒にいれる方を選びたい。




正直不安しかないけれど、モデルがいなくて困ってるみたいだし。
忙しいユノさんの力に、僕がなれるのなら。









「分かりました。僕……モデル、やります」






考えて考えて、僕はモデルをやってみることにした。
ユノさんにいいところを見せれるように、頑張らないと。






「……良かった。ありがとう、チャンミン」







よほど困っていたのだろうか。
心底安心したように、ユノさんがほっと息を吐いた。





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Comments 5

There are no comments yet.

ニカ  

如*さま

コメントありがとうございます〜(*´꒳`*)
ホミンの真ん中誕生日、本当はもっとお祝いしたかったのになかなか時間が取れず祝い切れませんでした…!
でもホミン動画を見返して、やっぱりいいな〜と再確認してました╰(*´︶`*)╯♡

2020/02/13 (Thu) 08:24 | EDIT | REPLY |   

ニカ  

くぅ**さま

コメントありがとうございます〜(*´꒳`*)

そう言っていただけて嬉しいです( ; ; )
これからも頑張ります!

このお話は、シーグリで頭にかすみ草を乗せた時の、超絶可憐なチャンミンをイメージしてます(*´꒳`*)
続き楽しみにしていてください!


色々書きたいお話がありすぎますね…笑

2020/02/13 (Thu) 08:21 | EDIT | REPLY |   

ニカ  

けい**さま

コメントありがとうございます〜(*´꒳`*)

チャンミンがお花屋さんで働いていたのは大学生の時で、今はお花屋さんとは関係ない一般企業に就職してます。
ユノはそのお花屋さんの上の階にある美容室で働いています。

チャンミンの就職に伴って離れ離れになってしまったので同棲を始めたって感じです。


このお話は、それの何年か後だと思っていただければ(〃ω〃)

2020/02/13 (Thu) 08:03 | EDIT | REPLY |   

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2020/02/12 (Wed) 22:20 | EDIT | REPLY |   

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2020/02/12 (Wed) 11:05 | EDIT | REPLY |   

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